開高健記念会

茅ヶ崎市 開高健記念館「開高健、モンゴルを駆けた夢」

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企画展:開高健、モンゴルを駆けた夢

偉大な無物の主

それにしてもねえ、開高先生はチンギス・ハーンの墓探しという夢を見つけて、それは嬉しそうにしてた。「ついに見つけた!」って、心の底から喜んでました。「これであと30 年は生きられる」と言いましたから、それを聞いてすごくホッとしたんですよ。そうでもなければ、先生は自殺してしまうんじゃないかと思ってたから。

(岩切靖治氏)

モンゴルの地

しかし、だ。ここは草しか生えていない。昔も今もそれは同じだ。 羊が草を食べて、その羊を人間が食べて、という関係だ。食物連鎖ということから見ると、草と、羊と、人。輪は三つしかない。草の栄養が、羊の肉に変って、それが人体になる。それだけだ。雑草の主成分だけでジンギス汗の軍隊は長征また長征、この中央アジアの大高原を突破し、バルカンを平らげ、ロシアを平らげ、あちらを呑みこみ、こちらを呑みこみ、ユーラシア大帝国を築くわけか。草だけで、草の栄養分だけで、草と水さえあれば。何と。それも根なしで、草の葉だけで。何と?::。

(『オーパ、オーパ!!』モンゴル・中国篇)

モンゴルで何かが欲しい時は、まず「何がある?」ときく方が早い。それ程にシンプルなライフである。草原と蒼天、その間に遊牧の民は生きてきた。
お茶もお酒もまずは蒼天の神テングリ様に差し上げるのだ。
下 : 酒器と箸
上 : 羊の踝 「シャガー」
さいころ、おはじきの玩具
右 : モンゴルの知恵の輪
「オヨーニイ・トゥレフール」
上 : 馬の汗拭き 「ホソール」
右 : モンゴルの知恵の輪
「右 : ポット「ドンボ」お椀「アヤガ」
チョッキ「ハンターズ」

ゴルバンゴル計画

開高先生の発想で始まったチンギス・ハーンの陵墓探しのプロジェクトも「ゴルバンゴル計画」(3つの川という意味。チンギス・ハーンの生誕地であり、埋葬地と推定されるのがヘルレン、オノン、トーラという3 つの川の源流域とされていることからモンゴル側が決めた)と名付けられましたが、これも同じ理由でした。チンギス・ハーンの名前を使うにはまだ遠慮があった。多民族国家であるソ連型社会主義と相容れなかったということなんです。チンギス・ハーンはなんといってもモンゴル民族の英雄ですから、それを許すとモンゴル民族の民族主義を鼓舞することになります。ソ連国内の民族主義に火をつけてしまうことを恐れたわけですね。

(鯉渕信一氏)

上 : ゴルバン・ゴル計画趣意書
左 : 陵墓探索の開高さんのアイデア図(地下探査機の使用法)
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