開高健記念会

茅ヶ崎市 開高健記念館「開高健 自筆原稿」

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企画展:開高健 自筆原稿

オーパ!そして静物

世界を巡った釣魚紀行『オーパ!』の動、そして愛用品の物語をエッセイとして綴った『生物としての静物』の静。1970年代後半から80年代前半の作家の、躍動感と遊び心が伝わってくる原稿の数々。

オーパ、オーパ!!

『オーパ!』(アマゾン篇「PLAYBOY日本版」78年2月号~9月号)の好評を受け、82年9月号より取材地ごとにそれぞれ名曲のタイトルを借り88年まで断続的に連載された釣魚紀行。アラスカ・セントジョージ島からカナダ・カリフォルニア、コスタリカ、スリランカ、モンゴルへと展開した。取材日数はアマゾン篇を含めて300日を超え、総原稿枚数は1200枚に達した。例によって書き直しはほとんどないが、稀に、その章に書くべき事柄のメモが原稿用紙の上部に残っている。

『国境の南』―オーパ、オーパ!! 中国・モンゴル篇―自筆原稿。開高健記念会所蔵

■要注意!『釣毒熱』

オーパ・シリーズ『オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カルフォルニア・カナダ篇』に収められた「扁舟にて」の冒頭に掲げられた短文。『オーパ!アマゾン編』では前奏曲のように中国古諺が置かれ、「扁舟にて」ではヴァンクーヴァーの釣具店で手に入れたチラシのこの文章が置かれた。作家は取材地へおもむくと現地の釣具店へ顔を出すことを常としていた。釣りのライセンス取得、ターゲットとする魚や川などについての現地の情報収集、釣り道具を購入するなどいくつもの目的があった。帰国後「おもろい文章をみつけておいた」と担当編集者にチラシを見せたという。しかし、よく読むと横文字から縦文字へ変換された間に、どうも創作がなされている気配がする。この文章のなかにみずからの似姿を見出し、すこし遊び心を加えたのかもしれない。

要注意!『釣毒熱』自筆原稿。開高健記念会所蔵

生物としての静物

大好評を博した『オーパ!』アマゾン篇終了後、月刊『PLAYBOY』で新たにスタートした新シリーズ。旅の小物、小道具をコンセプトとし、ラッキー・ストライク、ジッポのライター、ダンヒルのウィーク・パイプ、ウェンガー・ナイフなど24回にわたって、開高健の身の回りにあり、愛用していた「いきもの」たちの物語をエッセイとして綴っている。

文庫版97ページ、「モンブラン万年筆」の箇所には「ためしにここで久しく使っていないパーカーにインクをつめて馬を乗りかえてみる」とあって、万年筆を取り替えて執筆している。印刷された文字ではその差異はわからないが、生の原稿でははっきりとその違いが見てとれる。

初出:「PLAYBOY」1981(昭和56)年7月~1984年(昭和59)年1月/51歳

『生物としての静物』自筆原稿。開高健記念会所蔵。拡大部右はモンブラン、左はパーカーでの試し書き。

『生物としての静物』自筆原稿。拡大部はもう一本のパーカーでの試し書き。

愛用のモンブラン万年筆と眼鏡、そして『生物としての静物』

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