開高健記念会

開高健記念会ニュース

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第60回紅茶会、講師は椎名誠氏

東京・日比谷の日本プレスセンター8Fにあるレストラン「アラスカ」で、2007年12月7日、「開高健とヌーボーの会」に先立って行われました「紅茶会」講演。講師は旅行家としても知られる作家・椎名誠氏。

開高健さんが亡くなったあと、チンギスハー ンの陵墓を探すというプロジェクトをお手伝いすることになった。しかし、じつを言えば、他の国の英雄のお墓をあばくというのはどうかという気もあって、見 つからなくってよかったという気持ちもあった。開高さんには生前、一度だけ会ったことがある。インタ ビューとも対談ともつかぬシチュエーションで、二時間ほど、なにをしゃべったか、覚えていない。あちこち、辺境といわれる土地も旅してきたが、開高さんの 旅への憧れもあった。

エスキモーの住む地域を旅すると、森林限界というのが高度差だけでなく、緯度によっても生じることがわかる。森林限界を過ぎた自然のなかでエスキ モーの人たちは知恵をしぼって、いろいろなものを食べて暮らしている。アザラシを倒してよく食べるが、すぐ皮をはぐと、皮と筋肉のあいだにころころした 寄生虫がいることがある。アザラシと共生しているわけだ。これなんかは、エスキモーにとっては、重要な栄養源、あるいはサプリメントといったところだ。い ろいろなところで虫やなんかを食べると、ゲテモノ食いだとか言われるが、現地の人が必要あって食べているものを、われわれも頂くのであって、ゲテモノ食い とはちがう。

アマゾンでは、アナコンダ(巨大な水蛇)に興味があり、現地のひとにたずねると、「大きさ自慢」がはじまることがある。どこそこのひとは15 メートルの蛇を捕まえた、とか、20メートルのものを見た、とか。そういう事情を日本の子どもたちに説明するときに、極大と極小の話をするとよくわかって もら えるのだが、蛇で言えば、1キロの蛇がいたとする。で、尻尾のほうで何か、誰かにかじられるとかの異変が起きると、その信号は神経細胞を通じて伝達されて 脳へ向かう。ある本によると、1キロ離れた脳にその信号が伝わるのに、90秒かかる。「ヤバいから尻尾を動かそう」という信号が、折り返し尻尾に届く ま でに、また90秒。これでは、とっくに尻尾は食われてしまう。現実には1キロの蛇というのは、神経伝達の面からも生物の限界を超えているわけだ。
極小で例をあげると、地球を直径1メートルの球とする。これが東京駅にあったとすると、太陽系でいえば、火星は東海道線・大崎あたり、一番遠い冥王星は姫 路あたりにある、ということになる。こういうと、子どもたちも、へえ、ということになる。極小にするとわかりやすくなる例だ。

そのほか、地球のいまおかれている危機的な状況、なかでも危ない日本のある姿を、大自然の奥深く旅してきた視点から、印象深く話されました。

カテゴリ:紅茶会 2008-02-28